三河一色大提灯まつりの提灯の中に入れられるろうそくは大提灯同様とても大きく、大きいもので全長1m、重さ90㎏を超えます。
かつては名古屋のろうそく製造業者に大ろうそくの製造を依頼していましたが、明治13年ごろから地元一色でつくられるようになりました。以前はそれぞれの組でつくられていましたが、現在は各組の世話人を務めている有志が集まって一色諏訪神社の境内で3日ほどかけてつくられています。
大ろうそくの構造
初期の大ろうそくは木桶とボール紙を組み合わせたものでしたが、改良が重ねられ、現在のブリキ製の大ろうそくの形が確立しました。
大ろうそくの上部にはブリキの桶が埋まっており、灯芯を釘や芯で固定します。
また、大ろうそくが倒れないように下部にはコンクリートが重石として入っています。
①去年の古い蝋を取り出す
ノミを使って去年のろうを取り出します。
ろうはかたく、大ろうそくづくりの中で一番大変な作業です。
ろうがかたくてノミで取り出せない時は、バーナーで溶かして取り出します。
②表面の化粧直し
大ろうそくの表面に貼られている紙を剥がしたり、上部についたろうをこそぎ落したりした後、新しいクラフト紙を障子糊で貼ります。
貼り終わったら一晩おいて乾かし、乾いたら胡粉(貝殻からつくられる白色顔料)・水・糊を混ぜたものを塗って、大ろうそくの表面を白くきれいにします。
③灯芯づくり
灯芯を束ねて、大ろうそく用の灯芯(とうすみ)をつくります。
灯芯とは、行灯や和ろうそくといった灯火具の燃え芯のことです。
束ねる芯の本数は各組で決まっており、三層構造になっています。各層を2cmほどずらして合わせたら、糸を巻きつけて固定します。
その後、カッターやハサミで削って芯の形を整えます。
④蝋を流し込む
大ろうそくに灯芯を取り付け、溶かしたろうを灯芯にしみ込ませます。
灯芯にろうをしみ込ませたら、今度はブリキ桶に溶かしたろうを流し込みます。ろうの熱で灯芯の糸が溶けてしまうので巻きなおしたり、ろうが水平に固まるよう楔を差し込んで角度を調整したりします。
ろうが固まるのに1日ほど掛かり、仕上がりがきれいになるように固まる途中にできてしまった空洞をつぶします。
⑤文字の貼り付け
大ろうそくに文字の書かれた紙を貼り付けます。
貼る紙は組の名前が書かれたものと「御神燈」の2枚です。
文字の書かれた紙は破れやすいため、薄めた糊を紙ではなく大ろうそくに直接塗って、その上に文字の紙を貼り付けます。
また、丸みのある大ろうそくに貼るため、しわができないよう3ヶ所ほど紙に切り込みを入れて貼ります。
⑥仕上げ
大ろうそくと文字の紙の境目を濃い胡粉で塗ったり、大ろうそくの上部を水溶性ペンキで塗ったりして、大ろうそくの見た目をきれいにします。
また、ろうは固まる際に割れてしまうため、アイロンやバーナーで表面を溶かしながら整えます。
最後に文字の部分についてしまった胡粉をふき取って、大ろうそくが完成します。
大ろうそくは柱立ての時に各提灯小屋へ運ばれ、祭り当日は献灯祭まで拝殿の前に飾られます。
献灯祭
三河一色大提灯まつりでは、1日目の夜に献灯祭とよばれる儀式が行われます。
各組の代表がお祓いを受けた後、神官から神火を受け渡され、大ろうそくに移して大提灯の中に吊るします。
この献灯祭は大かがり火を焚くことに代わる大事な儀式で、かつては組の世話人や若者たちによって一晩中火を灯していましたが、現在は午後11時ごろまで火を灯しています。